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かわいそうすぎる鬼のおはなし [FR Nippon Misaki]

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タイのお話なんですけど、
あるところに10の頭と20の腕を持った恐ろしい鬼がおりまして、
お姫さまをさらってしまうのです。
王子がその鬼を退治して、お姫さまを助け出します。

もちろん、王子とお姫さまは結ばれて、
めでたし、めでたし…。

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でも、この物語には、前日談(?)があるのです。
実は10の頭と20の腕の恐ろしい鬼、
前世では1つの頭に2つの腕(つまり普通)の小鬼でした。

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小鬼は、神さまに少しでも近づきたいと、
偉大な神さまの神殿の入り口で、修行をしていました。
偉大な神さまを訪ねる、神さまたちの足を洗ってあげていたんです。
神さまたちは、足を洗ってもらいながら、
何がおもしろいのかよくわからないんですけど、
小鬼の髪をむしって遊ぶものだから、
小鬼の頭はてっぺんだけハゲちゃって、ひどいことになってました。
それを何千年だか、何万年だか続けてたんです。
神さまに少しでも近づこうと思って。えらいですよね、小鬼。
あるとき、偉大な神さまが神殿を出てきて、小鬼の前を通りました。
小鬼は思い切って、偉大な神さまにお願いをします。
「こんなにいじめられながら、こんなにがんばってるんですから、
 何かごほうびをください」
偉大な神さまは「それもそうだね」と、ごほうびをくれました。
それがよりにもよって「ダイヤモンドの指」。
人差し指がダイヤモンドになって、
それで指さすとすべてが石になってしまうという、
なんというか、非常に物騒なシロモノです。
こんなのもらってしまったら、やることはひとつ。
小鬼は自分の髪をむしって遊ぶ神さまたちに、仕返しを始めちゃうんです。
でもこれ、仕方ないと思うんですけど。
こんなごほうび、それ以外に使い道ないし。

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小鬼は、退治されるべき悪い鬼になってしまいました。
そんなある日、美しい娘が小鬼の前に現れて、踊りを踊り始めます。
見とれていると
「わたしみたいに上手に踊れたら、結婚してあげるよ」なんて言うわけです。
おずおずと娘の真似を始める小鬼。
そのうち、踊るのが楽しくて夢中になってきます。
いよいよ盛り上がってきたクライマックス。
娘はちょんって自分の足を人差し指でつつきます。
小鬼ももちろん、真似をして自分の足をつん!
「あ!」と思ったときは、自分の足は石になってるし、
美しい娘は、1つの頭に4つの腕のヴィシュヌ神になってるし…。
万事休すです。というかもう、助かる道はありません。
悔しかったんだと思います。つい、捨て台詞を吐いてしまいます。
「おまえなんか、腕が4本もあるくせに、
 腕がたった2本しかない俺を退治するのに、
 こんな汚い手を使うのか?」
ヴィシュヌ神はカチンときてしまって
「そうか、わかった!
 今度生まれてくるときは俺は腕2本、おまえは腕20本。
 それで倒してやるからな、覚えてろ!」
って怒って、小鬼の首を斬り落とします。

そして、最初の物語に戻ります。
小鬼は10の頭と20の腕を持った恐ろしい鬼に生まれ変わり、
人間の王子に生まれ変わったヴィシュヌ神に殺されるのです。

いったい、この小鬼が何をしたっていうんでしょう。
神さまに近づきたくて、一生懸命修行をしていただけなのに。
一度、神さまにごほうびをおねだりしただけなのに。
追い詰められて、つい、ヴィシュヌ神の痛いところをついてしまって。
ヴィシュヌ神のプライドを満足させるためだけに、
恐ろしい姿の鬼に生まれ変わることになってしまって…。

最初にこのお話を知ったときに、
なぜか小鬼に感情移入して聞いてしまったので、
こんな風に考えてしまうんだろうなとは思うんですが。
うまく王子やヴィシュヌ神に感情移入できたり、
お話を聞く土壌(ヴィシュヌ神のすばらしさを知っているとか)があれば
全然違った印象になるんだろうとも思います。
でもこのお話を思い出すたび、
小鬼があまりにも救いがなくて、
どうしようもないような気持ちになってしまいます。

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今回のモデルは、鬼に近いエヴィルさん。
なんだか最近、Misakiばっかり登場してるなぁ。
そんなに更新できそうにもないし、
今月はMisakiラブをつらぬこうかな(笑)。
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コメント 5

yann

そうそう。
そう言う話ってよくありますよね。
桃太郎の鬼が島の鬼たちは、
悪いことしたとは書かれてないのに、
鬼と言うだけで退治されちゃいましたね。
by yann (2011-07-20 20:52) 

HAL

神様が出てくる話は、けっこう神の傲慢さがいっぱいなことが多いですよね。
ギリシャ神話あたりは、悪徳政治家かと思うほどにww
by HAL (2011-07-20 22:13) 

砂糖子

>yannさん
日本のお話だと、なんとなく鬼は鬼である以上、
とりあえず悪者…ってお約束で読んでしまうので、
割と普通に読めるんですけどね。
ほら、ゴキブリはもう、歩いているだけで悪じゃないですか(笑)。
でも、新しい目で見ると、昔話って、
ええーーって内容やら結論やら、多いですよね。

>HALさん
ギリシャの神様は、神様だって思ったことないですねー。
あのひとたちってば、ひどすぎる(笑)。
世の中の醜いもののほとんどが、
あのひとたちの気に障った人間たちだし、
世の中の美しいもののほとんどが、
あのひとたちが好きだったけど死なせてしまった人間…かも。

>nikiさん、KOEELE_tokkyさん、sanaさん
 nice!をありがとうございます☆
by 砂糖子 (2011-07-20 23:18) 

sana

お~インパクトありますねえ!
この髪、いいわぁ…
赤と黒のドレスもすごい☆
こんなの、あったんだ…

かわいそうすぎる鬼ですねー!
この話の教訓は?いや教訓じゃないのかしら…
ギリシャやローマの神さまは人間よりも欲望のスケールが大きい存在、って感じですよね。
昔話って理不尽なお話って、多いですね~。
話が意外な方へ転がるのがいいのか、現実の理不尽さを反映しているのか…??
by sana (2011-07-21 23:54) 

砂糖子

>sanaさん
きれいなドレスでしょう☆
Misakiさんのドレスではないんですけど、
ボディがMisakiさんと同じなので、ばっちりなのです。
この鬼のお話、教訓なんてあるんですかね…。
どっちかっていうと、
鬼なら鬼らしく、神さまに近づこうなんて思わないこと!
とか、そういうネガティブな教訓しか思い浮かびません…。
現実も理不尽ですけど、だからこそかもですけど、
お話のなかでは、
せめて報われて欲しいって思っちゃいますよね。
by 砂糖子 (2011-08-07 23:43) 

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